祝もものき事務所 / 茅田砂胡

本の感想, 作者名 か行茅田砂胡

なぜか事件の解決のヒントにたどり着いてしまう、という謎の体質をもつ百之喜太郎は、その体質を生かした探偵事務所(のようなもの)の所長だが、やる気も根性も何もない問題児だった。ある日、百之喜の友人の弁護士から紹介を受けた江利が事務所を訪ねてくる。彼女は、殺人事件の被告人である弟の無罪を証明してほしいと百之喜に依頼するのだが……

エイリアン一族が強烈。

茅田さんの現代モノのなんちゃって推理?モノ。デルフィニア戦記とスカーレット・ウィザードの続編のアレコレは早々に脱落しちゃったのですが、現代もの(桐原家の人々)が面白かったのでこれはいけるかしら?と今更手にとってみたのですが、みたのですが……。最初から最後までどこはかとなく感じる違和感を拭いきれず、読むのが少々辛かったです。それでも読みきったのは、「十中八九有罪」な事件について、どうやって無罪に持っていくのかが気になったのと、終盤の「エイリアン旧家のひどい実態」がなんのかんのと野次馬根性もいいところで興味深かったので……。後半がほとんど「実録!旧家の闇を見た!」だったのはちょとやりすぎかなぁ、と思いましたが。

茅田さんの描かれる「強い女性」は気持ちいいことは気持ちいいんですが、年齢を経た今読むとなんかみんな似たよーなタイプだなぁ、とかなんとか思わなくも……。強い女性たちが旧家の面々にギャフンと言わせるのはすかっとしたし、桃太郎の手下たちの名を持つ百之喜の友人たちについては、今後活躍するのであれば面白そうなんだけど、な。

祝もものき事務所
茅田砂胡/睦月ムンク
C-novels Fantasia(2010.11)
amazon/honto