はたらく魔王さま! / 和ヶ原聡司

作者名 や~わ行・他和ヶ原聡司

エンテ・イスラでの勇者との戦いに敗北した魔王サタンは腹心のアルシエルとともに「ゲート」に逃げ込み、現代日本にたどり着く。最後の魔力を振り絞ってなんとか日本での生活の基盤を整えた「真奥」は、世界征服の足がかりとしてまずはファーストフード店の正社員を目指していた。そんな真奥の前に、真奥を追ってきた遊佐恵美こと勇者エミリアがあらわれて……

真王さまが庶民過ぎておもしろかったー。

何の気なしにアニメを見始めて(珍しく一話から)、そのアニメが妙に面白くて●年ぶりに電撃文庫を読みました。なんせ少年系も(一部のぞいて)読むのが非常にひさしぶりだったので、少年系の文法に馴染めなかったらどうしようかなぁとちょっと心配していたんですが、とくに引っかかることもなくすごく楽しめました。唯一引っかかったところは、神戸出身だから震災が……というくだりなんですけどね。うーん、関西では神戸だからといって最初にその話題を持ち出すことはまずないので結構違和感だったかなぁ。関西以外ではそうではない、ことはないと思うんですが。
真奥さまが妙に庶民生活に馴染んでいて、それを裏から支える主夫・芦屋の涙ぐましい努力がよいものでしたねぇ。この熟年夫婦め……!力はあったが一人の恵美、力はないが二人の真奥たち、この対比もなかなかじわっと来るものがありました。

ダブルヒロイン?の雰囲気がありますが(勇者とちーちゃんで。そして勇者とまおうさんはそんな関係になるはずがないとは思いますが)、たぶん、私は勇者派になるんだろうなぁ、と思います。続きを読んでこの辺りに確信を持ちたいです。

真奥が妙に模範的な一般市民になっていて、この人どれくらい「極悪非道」な魔王だったのかなぁ、といろいろ悩んでしまうところもあるんですが(実はそれほど「極悪非道」ではなかった?)、そのあたりも続刊でフォローされるのかな?コメディなんですが、全体的に落ち着いているというか、で妙に文章のリズムがしっくりきたので、続きも楽しみです。

はたらく魔王さま!
和ヶ原聡司/029
電撃文庫(2011.10)
amazon/honto