革命は恋のはじまり~告げる想いと自立する願い~ / 小田菜摘

本の感想, 作者名 あ行小田菜摘

ナクシュデルの「黄金の寵姫」の名を利用して芸術会館での公演を実現させた舞踏団だが、直後に国でも一・ニを争う評判のシルケル舞踏団の公演が同じ会場で行われ、二つの公演を比較した論評が新聞に掲載される。憤慨する舞踏団のメンバーだが、このまま舞踏団をいつまでも続けることができないという現実にも直面してしまう。そして、ナクシュデルにはリュステムの母である大統領婦人から学校教師にならないかという誘いがかけられる。舞踏団と教師になるという夢と、どちらを選ぶか迫られたナクシュデルの下した決断は……

リュステム兄が登場してないのに楽しすぎる。

シリーズ三冊目。サブタイトル通りの展開で、若いっていいですなぁなどと縁側の楽隠居のような感想を抱いてしまいました。大きな事件がおきて、劇的な展開が待ち構えている!というようなものではないのですが(なにせ一番動いたのは1冊目、革命が起きて後宮解散したときだから)、素敵な王子さまにちょっかいかけられているのにいやいやそんなそんな、というナクシュデルと、そんな彼女を見てシャーっと毛を逆立てているリュステムさんのやりとりが微笑ましくてよいものでした。
恋愛云々というより、後宮を出た女達がどうやって身を立てていくかというところが主眼になってきている気もするのですが、これはこれで地に足の着いた展開がいいなぁと思う節もあるので個人的には楽しんでおります。ナクシュデルの相棒・アイハンの頼れるアネゴっぷりも読んでいて爽快で好きです。

今後は教員編になるのかなー、ということで続きもぼちぼち読んでいきたいと思います。

革命は恋のはじまり~告げる想いと自立する願い~
小田菜摘/雲屋ゆきお
ビーズログ文庫(2013/3)
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