ベリーカルテットの事件簿 薔薇と毒薬とチョコレート / 青木祐子
有名執事の娘シャロンは、初めてメイド勤めをするカルヴァート家の別邸に向かっていた。そこではカルバート伯爵の長男の婚約者の披露が行われるらしく、邸の中はてんやわんやの大騒ぎ。更にそこに別邸の「主」だというカルバート伯爵の次男で売れない作家のロイが現れる。そしてシャロンはロイと邸に滞在していた女性が死亡しているのを発見してしまい……
今度も男性サイドは乙女思考かもしれない……
大層優秀なメイド・シャロンと、彼女が仕えることになるちょっと「頼りない」坊っちゃんロイの、19世紀イギリスを舞台にした推理モノ。犯人は最初からわかったようなものなんですが(むしろ最初から書いてある)、そこまでどうたどり着くのかがなかなか興味深かったです。青木さんの「ご令嬢の残酷な無邪気さ」というあたりは相変わらず真に迫っててちょっと苦手なんですが……(ドロドロしたのは苦手なもんで……)。ツッコミ気質のあるシャロンの一人称、の語り口が軽快で楽しかったです。使用人達のそれぞれのポジション、そして強かさなんかも面白かったなぁ。使用人からみた貴族世界、というのもなかなかおもしろいものですね。
そして、シャロンとロイの絶妙なやりとりが面白いお話でした。この二人は過去出会ったことがあるらしく、そのあたりをもうちょっと詳しく読んでみたいなぁというところもありますので続刊に期待ですよねー。続刊に期待といえば、今回踏んだり蹴ったりのお兄ちゃん。いいところ全くないお兄ちゃんでしたが、これはいつか弟にデレる布石と信じておきたいです。この人、弟にデレる素養はあると思うんだ……!(あんまり出番ないけど)
ベリーカルテットの事件簿 薔薇と毒薬とチョコレート
青木祐子/明咲トウル
集英社コバルト文庫(2013.12)
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