嘘つきなレディ~五月祭の求婚~ / 白川紺子

本の感想, 作者名 さ行白川紺子

「生まれて間もなく乳母に誘拐されて下町で花売り娘として育った」ハートレイ伯爵令嬢メアリは、なかなか社交界に馴染めずにいた。ハートレイ家で開催された催しものの席で、メアリの「秘密」を知っているという奇妙な青年に出会う。「秘密」を暴露されることを恐れたメアリは青年に出された交換条件を飲むことにするのだが……

ちょっと不思議な19世紀ロンドン社交界ものでした。

三周くらい遅れている気がしますが、リリー骨董店シリーズの白川さんのデビュー作にチャレンジしてみました。こちらもイギリスはロンドンを舞台にした「訳あり伯爵令嬢メアリ」と「訳あり青年伯爵ジョシュア」の訳あり物語。不思議要素が入ってくることを想定せずに読んでいたので、ふ、不思議だと!とちょっと身構えておりましたが(そしてわりとに壮大な「悪い」陰謀も絡んできて実は物々しいお話だった)、それはそれで。
後ろめたいものを抱えて「伯爵令嬢」をしているメアリと、その特異な体質から「誰かに愛され続ける必要がある」ジョシュアののじれじれなところがよい少女小説だったなぁ。「不思議な能力」関係は全くカタがついていませんし、何故にその力が、というところも全く語られていないのでその辺りは気になってしかたがないのですが、まあそれはそれということで。

そして、メインとはあんまり関係のないところで、「あ、あなたのことなんて別に心配していませんからね!」というお嬢様ヴァイオラもよい少女小説のヒロインの友人ポジションでした。最初はただの嫌味な女の子と思っていてすいません………!

嘘つきなレディ~五月祭の求婚~
白川紺子/友風子
集英社コバルト文庫(2013.1)
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