宝塚-星組 / 眠らない男・ナポレオン ―愛と栄光の涯(はて)に―
宝塚歌劇団の記念すべき100周年の最初の作品は、オリジナルな長編ミュージカル、ナポレオンの成り上がりから没落まで描いた作品でした。音楽はあのロミオとジュリエットの方、ということでなにやら非常に豪華でした。面白かったです。姑と小姑は怖いよ。
全体的にダイジェストっぽい、と聞いていたんですが確かにダイジェストっぽかったです。心地の良い音楽を背景に、ぐんぐんぐんぐん話が進んでいって、そしてなんともわかりやすい解説の数々。これ、フランス革命前後のあたりが苦手な受験生は見るといいと思うわー。フランス革命関連はベルばらで押さえてあるので、ベルばらのあとにこれを見ると完璧じゃないかなー、などと、受験シーズンにちなんで思いをはせてみました。それはともかく、本気の宝塚の再現度すごいなぁ!と思った次第で。ポスターからして、ルーブル美術館にある戴冠式やナポレオンのアルプス超え(だったかしら?)の絵画そのままなんですが、劇中でも同様のシーンがあって、そのままで!色んな意味で感動しておりました。
ナポレオンとジョセフィーヌの恋物語は、歴史物のドキュメンタリー等々で概要は知っていたのですが、こう、熱演されると想像以上に熱い恋物語でした。特に馴れ初めや結婚するエピソードのあたりは、ラブコメといっても差支えがないくらい(笑)。こういうの好きだわー、そして(wikipediaを見た限りは)どれもこれも本当にあったエピソードらしく、ちょっとほっこりしました。夢咲さんの美しい淑女っぷり、柚希さんの精悍で熱意あふれる若い将校姿がもう眼福で!いいものみました。ナポレオン、うざーいという様子を隠すこともなかったジョセフィーヌさんが、ナポレオンの愛に目覚めて、姑と小姑と闘いながらもナポレオンを支えていく、というところがなんとも。これは惚れざるをえない。あと、ナポレオン母の美穂さまには誰も勝てる気がしないです。最強。
今回一番気になったのは、物語の進行役、ナポレオン二世かなぁ。「好青年とはかくあるべしっ!」というオーラに満ち溢れた天寿さんが、こう、いろいろ危険でした。最後のさいごの天寿さんとグラン・マルモンさんのやりとりにほろりとし。というかマルモンさんがいろいろ美味しすぎます。腹心なのに最後は、というのがね!こういうのに弱いです。ほろりときかけていた所に、幕が下りて左のせり上がりから紫の紅さんが出てきたのを見て妙に安心をしてしまいましたが。さすが、コイケ作品。期待を裏切らない。紫まで、一緒。
時代設定が時代設定だけに、ベルサイユのばら、スカーレットピンパーネル、そしてトラファルガーといろんな宝塚の演目が頭を駆け巡り、いろいろ見たくなってきました。特に、トラファルガーはねぇ……。蘭寿さんが凛々しく「あーあーあーヴィ~くとりぃー!」って銀橋で歌っている姿が脳内を駆け巡りすぎて、これは近いうちにまた見なくてはと思ってしまう次第で。宝塚は罪づくりです。