妖精国の恋人 黒馬の王子様と暁の娘 / 山本瑤

作者名 や~わ行・他山本瑤

人付き合いより馬づきあいのほうが好きなケイトリンが暮らすモルガンウッグの農地に、領地を相続した領主・ロウランド王国の第二王子エリスが訪れる。ケイトリンが幼いころ生き別れた家族を助けるために、エリスの居城にあるらしいとあるものをもらうことを条件に、ケイトリンはエリスの「偽物の婚約者」として問題を抱えているエリスの居住地エイヴァロンに向かうことになる。

素直になれない王子様というのはよいものなのです。もふもふ。

当初の舞台はアイルランドを予定していた、というところあたりからどれくらい「妖精」テイストがある物語かを想像していただきたい、妖精の巻き起こすトラブルに果敢に立ち向かうことになるちょっと「不思議」なケイトリンと、妖精なんて信じたくないのに目の前の現実からどうにかしてこの問題を解決したい王子様エリスの物語。山本さんの地に足のついた雰囲気のファンタジーっていいなぁ、というお話でした。
ケイトリンの「不思議」なところや、ケイトリンやエリスの抱える「過去」はそうなんだ!と思わず納得で、そして二人が徐々に近づいていくところが、ねぇ!とくにエリスがケイトリンにほだされていくところなんて素晴らしい展開なので少女小説っていいものです。

なんとか決着したかな、と思ったところで予想外のもふもふな展開なので、続きも楽しみ。

妖精国の恋人 黒馬の王子様と暁の娘
山本瑤/起屋一子
集英社コバルト文庫(2014.02)
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