棺の皇国 獣なる魔道士たちの宴 / 天海りく

本の感想, 作者名 あ行天海りく

ハイゼンベルグ家とディックハウト家の間で長年内乱が続くグリサド皇国。魔道士であるリリーは「雷獣」と恐れられるハイゼンベルグ家の第二皇子バルドの補佐官としてバルドと共に戦場を駆け巡っていた。ハイゼンベルグ家の敗色が濃厚になる中、バルドの縁談が持ち上がり、対人能力にかなりの問題のあるバルドの「通訳」としてリリーは婚約者候補のカルラとの対面に立ち会うことになる。

「棺」という題名にふさわしく、殺伐としてた。最近の少女小説にしては珍しい。

敗戦濃厚な陣営で旗頭になってる第二皇子バルドとその補佐官のリリー物語。切った張った、裏切られて裏切ってとわりとシリアスな展開で、リリーはリリーで「死ぬなら前のめりで戦場で」と言いきちゃってるし、バルドとリリーは危うい依存関係にあるしと、最近あんまり読んでない類のお話で新鮮で面白かったです。バルドとリリーの「遊び」は、外野から見るとどう考えてもイチャイチャしてるようにしか見えなくて、おいおいおいおいおいと(二人の近くにいるクラウスさんでなくても)突っ込みたくなるようなものでしたが、これがそう効いてくるかー、という展開もなかなかのものでした。
バルドの兄上ラインハルトが策士で悪い人でした。この人も色んな物を抱えてそうですよねぇ。 [1]そして名前が名前だけに某SFの金髪のあの人が頭をよぎってしかたがないという。 お兄ちゃん弟大好きな人間としては、ぜひともそうは言っても実はの展開を期待したいところです。

内乱の戦況については一発逆転があるようなものでもなさそうですし、タイトル通り屍累々だし、上の方も不穏だしでこの後どうなるのかなぁ。新シリーズと書いてあったので続きもたぶんでそうなので期待しておきたいです。リリーの出自も気になるし!

棺の皇国 獣なる魔道士たちの宴
天海りく/Laruha
ビーズログ文庫(2014.09)
amazon/honto/BOOKWALKER

References

1 そして名前が名前だけに某SFの金髪のあの人が頭をよぎってしかたがないという。