月と夜の物語 恋を失くした男と愛を誓った娘 / 小椋春歌

本の感想, 作者名 あ行小椋春歌

エルサムの帝王危篤との報を受け、シャールカーンはマルジャーナとの結婚を認めてもらうために母の要請に応え、一行はエルサムの都に赴く。ザインからザインと恋仲であることを隠し、ジャスミン姫の侍女としてマルジャーナに付き添うことにしたライラはエルサムの後宮でザインの過去を知るのだが……

ザインのひん曲がった根性がライラに矯正された(かもしれない)お話。

シリーズ最終巻。1巻目を読んだときは読み切りかしら?と思っていたのですが、思った以上にうまい具合に続いて、そしてきれいに着地したシリーズでした、最後まで楽しかった!

今回は一番の問題の総本山、エルサムでいかにしてシャールカーンが王位を放棄するかというお話です。ごく一部の人に対しては根性のひん曲がったお兄ちゃんや、女の戦いが怖いお話でもありましたが、そこはマルジャーナとライラの男前さが光る部分でもありました。あのお兄ちゃんは、いいお兄ちゃんだといいなぁと思っていましたが、あの状況ではしょうがないかなぁとおもいつつ、嫌味が通じない弟にいつの間にかほだされているところが個人的にポイントが高かったです(笑)。
そして物語のヒーロー・ヒロインのザインとライラは、もうザインのヘタレぷりというか、ライラを守るために距離を置いてるのに駄々漏れなのがよいものでした。昔からザインを知っている人からすると誰これ?というくらいライラにダダ甘だ、という描写も楽しい物でしたね。少女小説っていいなぁ。

存在感がわりと薄かったもののおとぼけぶりが面白かったルーダイナや誰よりもしっかりしているジャスミンなどみんな見せ場があって楽しかったです。次作も楽しみ。

月と夜の物語 恋を失くした男と愛を誓った娘
小椋春歌/まち
ビーズログ文庫(2015.03)
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