恋、ときどき香りの魔法 にわか令嬢は殿方禁制につき / ひずき優
教会から異端扱いされている「香り使い」としてひっそりと下町で商売を営むミリエルだったが、街中で偶然助けた公太子であるセヴルスに弱みを握られ、体調が優れないセヴルスを香りの術で助けるために期間限定の恋人役を引き受けることになる。
可愛らしいお話と見せかけて辛いところもありました。
お人好しのミリエルがお人好しぶりに付け込まれてやり手の貴公子に利用されるも、少女小説のお約束の展開が待っているお話。全く登場しないのに、ミリエルに「男よけのおまじない」を施した師匠の存在感がすごくて、師匠出てこないかな、続き出てないな、でてこないな……と少しがっかりしてしまいました。
セヴルスの完璧な貴公子にはきっと裏というか屈折したものがあるに違いない!という少女小説のお約束もクリアし、ミリエルの初恋の様子も可愛くて、二人をサポートするオフィーリアとグレンもいい味だしてて、そしてライバルポジションの彼も単なる悪役じゃない憎めないところがあって、総じて安心して読める少女小説だなぁと思いました。
恋、ときどき香りの魔法 にわか令嬢は殿方禁制につき
ひずき優/惠坂
集英社コバルト文庫(2011.1)
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