隠れ姫いろがたり―雪の下― / 深山くのえ
皇女として生まれたものの何者かにさらわれ、宇治川に捨てられ市井で暮らしていたが純子だが、素性が判明し宮中に戻ったものの慣れぬ生活に鬱憤をためていた。そんな中、兵部卿宮と思いを通じあった純子は、兵部卿宮の助力を得て引き取られていた実母の殿舎である弘徽殿から麗景殿に移り心安らかな日々を過ごしていたが……
大団円でよかったよかった。
当初は一冊構想だったそうですが長くなって前後編になったという本作、二作目にして完結編。純子が皇子と間違ってさらわれたという真相や、純子と兵部卿宮のあれこれやらが綺麗に片付いた一冊。純子の市井パワーというか、ただのお姫様じゃない底力がたくましくて心強く、冷静に見えてうちに秘めたものが熱い兵部卿宮の大胆行動も、少女小説ってよいなぁと思いました。
悪役というか、黒幕関係については成敗されてしまえ!という悶々感を綺麗に拭い去る決着の付け方で、すきっとしたので気持ちよかったです。
二冊分冊してしっかり読めて良かったなぁという平安絵巻物でした。次の作品も楽しみです。
隠れ姫いろがたり―雪の下―
深山くのえ/あき
小学館ルルル文庫(2015.12)
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