花酔夢―皇帝の一途でいじわるな寵愛― / 藍川竜樹

本の感想, 作者名 あ行藍川竜樹

下級官僚の人間の父と花の仙の母を持つ沙羅は、花仙の持つ伴侶の玉を皇太子の叡綜に奪われ逆らえなくなり、4年間彼の側仕えとして働いていた。叡綜の即位に伴い沙羅も下働きとして後宮に上がることに。妃候補として後宮入りしている令嬢の調査を行うという仕事を買って出た沙羅だが、有力貴族の令嬢たちにいじめられて……

なんともねじまがちゃって……(好意が複雑骨折した結果)

不思議な要素もある中華風の少女小説。メインの二人が不器用でそれぞれいろいろねじ曲がっちゃってるので非常にもどかしいお話でした。藍川さんのヒーローさんはねじ曲がってることが多いとは思いますが、今回はなかなかのねじ曲がり具合で……混みいった事情というか、きっといろいろ考えた末のあのネチネチ具合なんだろうなぁ予想はしておりましたが、そして本人(沙羅)以外は気付いているという状況は結構楽しかったのですが、沙羅からしてみればたまったもんじゃないですねはい。

沙羅ちゃんも境遇にもめげずに前向きなところは可愛らしかったのですが、若干のドジ要素に少しもどかしさを感じつつ、真相に気付いてからの恋する乙女ぶりはかわいいもののあれだけいじめられてたのに!とすこしの不完全燃焼を感じましたが、遠巻きにしていた下働き仲間と最後はキャッキャしてたのは楽しかったです。

あとは予想外のあの方のポジション。こう、全体的に結構好きな要素たくさんあるのになんか外れてる……と思っていたところにあの方の真実がきて、最後すごく楽しかったです。あの方のスピンオフとかないかな(笑)。

花酔夢―皇帝の一途でいじわるな寵愛―
藍川竜樹/深山キリ
集英社コバルト文庫(2016.01)
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