身代わり伯爵と終幕の続き / 清家未森

本の感想, 作者名 さ行清家未森

大公妃付きの女官になるための条件として既婚の貴婦人である必要があるが、ミレーユのもとに集った女官候補の令嬢たちは誰ひとりとして結婚する気配がない。現状打破のために、騎士団のエリートと令嬢達の集団見合いの場を設けることになり、レルシンスカは令嬢側の取りまとめ役として場を仕切ることになる。

身代わり伯爵の最後の短編集。楽しかったです。

ルドヴィック・ロジオン・アンジェリカ三兄妹の(ある意味)壮絶な兄弟げんかの話があったり、ご令嬢達のお見合い大参戦があったり、ジャック団長の恋物語があったりと、物語のその後がてんこ盛りな一作。リヒャルトの「野獣」の顛末が明かされるリヒャルトとフレッドの始まりの物語も良いものだったなぁ。フレットのなんとなくするっと懐に入り込んでしまう能力はもうこれ天賦の才としか言いようがない。
どちらかと言うと、ミレーユとリヒャルトよりも周囲がその後どうなったのか、というところのほうが分厚かったので、主役二人のあれこれは少々少なめですが、そのなかでも相変わらず仲のよろしいことで……と思わずニンマリしていまいつつ、二人の物語はだいたい本編で語りきられているところもあるので、周囲がどうなったかということがはっきりしてスッキリした良いボーナストラックだったかなぁと感じました。特にレルシンスカさん、物語の中である意味最強な彼女の男らしい決着の付け方がかっこよかったです。

身代わり伯爵と終幕の続き
清家未森/ねぎしきょうこ
角川ビーンズ文庫(2017.05)
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