恋衣花草紙~白蓮の姫の物語~ / 小田菜摘

本の感想, 作者名 あ行小田菜摘

すでに3人の后がいる帝・篤迪に入内することになった朱子。帝は藤壺の中宮・郁子を寵愛しており、関白の娘を無下に扱うこともできないが、郁子から寵愛を奪おうとは考えていない朱子とは友人のような関係を築いていた。そんな中、里下がり中に郁子が亡くなってしまい……

朱子さんが男前でかっこよかったです。

シリーズ化(たぶんこれで終わりなんですが)した架空の平安王朝を舞台にした恋物語2作目。今回は気の強いしっかりしたお嬢さんと後ろ向き気味の帝のお話でポジション的なものが前作と逆(女性の方が押し気味)なのが楽しかったです。
すでに3人の后がいる上にその中に本命までいると少女小説的にそれは大丈夫なのだろうか……(なんのかんので最初から1対1が多いような気がする少女小説界)と、あらすじを見た時点で若干疑問があったんですが、少女小説としてちゃんと成立してる!!!と感心しつつ、朱子さんの男前具合が読んでいて気持のいいものでした。対する帝は影が薄いというか、朱子さんの男前ぶりに霞んでしまっているような気もしました。朱子さんがかっこよかったのでもう彼女がヒーローポジションでよいのでは、と(真顔)。
おんなのひとってこわいというか面倒くさいなぁというような敵役ポジションの顛末などもひとまずすっきりで小田さんらしい終わり方で流石だなぁ、というお話でした。

恋衣花草紙~白蓮の姫の物語~
小田菜摘/宵マチ
ビーズログ文庫(2017.08)
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