侍女が嘘をつく童話 野苺の侍女の観察録 / 長尾彩子

本の感想, 作者名 な行長尾彩子

ミカエラは王女の侍女として王宮に出仕していたが、剣の腕を買われて、カレンデュラの森を治める第二王子アドリアンの護衛(兼従者)として男装してアドリアンに仕えることになる。アドリアンは仮面をつけた冷酷な領主だという話だったが、ミカエラはアドリアンとともに過ごすうちに彼の評判はあくまでも噂に過ぎないことを知る。

メインの二人がシリーズ史上最強にピュアだった(まぶしい)。

代々優秀な騎士を排出しているお家出身のミカエラ(若干脳筋)が男装して悪評てんこ盛りの王子様にお仕えするお話。相変わらずクラウディアさんと告げ口うさぎさんがかわいらしい……。いわゆる「お互いにどう考えても両思いなのにお互いが想い人を別人と思っている」系のすれ違いなんですが、読んでいる方はすべて了承しているので、またすれ違って~とにやにやとほくそ笑みながら楽しんでいました。
このシリーズ、ヒーロー側が大概若干病んでいるところがあるのに対し、今回のヒーロはーすごくピュアでした。よって、彼が僻地に追いやられた原因がめちゃくちゃ下衆だーーーーー!といつも以上に際立っていました。相変わらずコメディの仮面をかぶったきつい(辛い)お話で、このギャップがすごいなぁと毎回思っています。。

今回はヒロイン側のほうが動くお話ではあったものの、少し脳筋すぎるところが読むのがきついかなぁというところはあったのですが、総じては主役の二人の初々しさが可愛らしくて面白かったです。シリーズとしては後一冊なので最後まで楽しみ。

侍女が嘘をつく童話 野苺の侍女の観察録
長尾彩子/宵マチ
集英社コバルト文庫(2017.11)
amazon/honto/BOOKWALKER