異人街シネマの料理人3-4 / 嬉野君

本の感想, お気に入り, 作者名 あ行嬉野君

もともとあまり仲の良くなかった長兄・冬基と次兄・カイだが、二人の仲が更にこじれる事案が発生し、カイは中央アジアでの学術発掘のあとそのままロシアの大学に移籍するという話まででてしまう。さらにカイの”目的”に気付いた桃は、イタリアへの修学旅行中に、真礼の力を借りて修学旅行を離脱し、なんとかカイの計画を止めようとカイの研究室が発掘調査を行っているというテジェニスタンに向かうが……

壮大な話が展開していったのに最後はきれいにきょうだい喧嘩におさめて大団円で面白かった!

超お金持ちの異母兄に引き取られた映画オタクの桃ちゃんが、二人の兄の間を取り持つと見せかけて最終的に一人勝ちした話、3巻と完結編の4巻を一気読みでとても楽しかったです。
2巻までは、大きな話になりそうだなぁというところを感じさせつつも、日本国内でのお話だったんですが、ここに来てイタリアからオランダ、そして中央アジアと桃と真礼がツテと知恵と気合でカイの足取りを追っていくことに。真礼のサバイバル能力はもちろんのこと、桃の肝の座り具合がすごい。めちゃくちゃかっこいいヒロインでした。
一方で、兄弟仲をこじらせた長兄と次兄。原因が原因なだけになかなか難しいなぁという状況だったんですが、桃が最強だったので(ネタバレを避けた感想となるとこんなことしかかけない)。本編がスッキリきれいに大団円で着地して本当に良かったです。

そして描き下ろしの短編は、本編と違って殺伐としたところがないから安心して読めて、本編がシリアスなだけにこのお気楽さのギャップがたまらない。語り出したらとまらないオタク(桃)と頷きマシーン(カイ)の相性って最高だな……と笑いながら読んでいました。本編を経たあとに読むと更にカイの成長ぶりが楽しくて、最後の最後まで堪能しました。

異人街シネマの料理人3
嬉野君/カズアキ
ウィングスノベルズ(2017.9)
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異人街シネマの料理人4
嬉野君/カズアキ
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