伯爵家の悪妻 / 江本マシメサ

本の感想, 作者名 あ行江本マシメサ

文武両道の完全無欠公爵令嬢ヘルミーナはその完璧さから婚約者もいなかったが、叔父である国王の勧めで第二王子付きの近衛騎士である伯爵家の次男エーリヒと結婚することとなる。社交界一の遊び人と名高いエーリヒとの結婚にあたり、書面15枚にも渡る婚姻条件を事前にエーリヒに送ったヘルミーナに対し、エーリヒはすべて受け入れるという回答を送ってきた。

天然ハイスペック(ヒロイン)と爽やか腹黒ハイスペック(ヒーロー)のラブコメでした。

悪役令嬢ものからインスピレーションを受けたという本作、序盤で紹介されたヒロインのハイスペックさが荒唐無稽で(いやまあコメディなんで……)、「え、なんかすごいなこの子」と思っているうちに読み切ってしまったような物語でした。ヒロインの唯一の弱点といえばお人よしというか天然なところかなぁと思うんですが、そういうところがないと話が進まないしね……。一番のコメディ成分(鎧兜)はちょっと個人的になしだわ(しかし悔しいけど面白い)と微妙な感情を持て余しました。
一方のヒーローは話が進めば進むほど腹黒であることが明らかになっていってこちらも面白いんですが、腹黒成分は面倒くさい第二王子付きであるがゆえの苦労性な面で中和されてそれほど腹黒を感じなかったんですよね、腹黒なんですが。「苦労性な腹黒」という位置づけが結構好みであることに気付きました、ごちそうさまです。

物語をバタバタさせた原因の第二王子関係については少々というかかなり納得いかないところがあって、そこのもやもやは全く解消されてないんですが(どうせならさっぱりした気分で読書を終えたいタイプ)、主役二人のラブコメぶりが面白かったのでそこは楽しめてよかったです。

伯爵家の悪妻
江本マシメサ/なま
アイリスNEO(2017.06)
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