王女の遺言1 ガーランド王国秘話 / 久賀理世

本の感想, お気に入り, 作者名 か行久賀理世

ガーランド王国の王女アレクシアは政略結婚で異国に嫁ぐ事になったが、婚礼のために相手国に向かう船上で何者かに襲われ、護衛官のガイウスとともに海に投げ出される。一命をとりとめたアレクシアは、怪我を負ったガイウスのために助けを呼ぼうとするが運悪く人買いに声をかけてしまい、すでに囚われていた少女らとともに娼館に売り渡されてしまう事態に陥ってしまう。
一方、アレクシアが行方不明になったガーラントの一行の責任者グレンスター公は、万が一のために準備していたアレクシアに瓜二つの少女ディアナを影武者として仕立て上げなんとか時間を稼ごうとしていた。

コバルト文庫(少女小説)の、王道王宮モノ(今回あんまり王宮にいないけど)だ!と思いました!

王女様のアレクシアと(元)物乞いの少女ディアナが、王位をめぐるいざこざに巻き込まれ立場が入れ替わったような状態になってしまい、それぞれがそれぞれの場所で懸命に生き延びようとするお話の全4巻の1冊目。今回はアレクシアの比重が高めで、ダブルヒロインっぽいので次はディアナの比重が大きめになったりするのかな、などとつらつら終盤考えながら読んでいたんですが、最後の最後にまたなんてこと……というような結末だったので、早く2巻目も読まねばなりません(現時点で2巻まで刊行済み)。

ヒロイン二人はそれぞれかっこいいし、今回アレクシア側で仲間になる女の子とアレクシアの友情も良かった!アレクシアが妙に男前で、その男前っぷりが口うるさい護衛の影響、というところに少し吹いてしまいました。どう見てもこれ両想い的なあれですね、というような状況のアレクシアとガイウスの絆を考えると、この二人にうまく行ってほしいなぁと思わずにはいられなくなる一方、王女の鏡のようなアレクシアが政略結婚が決まってる中それを踏み倒すわけもないので、ここからどう転がっていくのか気になります[1] … Continue reading

きつめの話(ヒロインさんが辛い目に遭う話)を読むのが最近どうにもこうにも辛くて、このお話もちょっと辛かったので途中一旦読むのを休憩してしまったのですが、一山越えると少々スカッとする展開で一気に進んでいくのはよかったです。今巻は読み終わってみると、なんでこれで読むのを途中で休んだかな、と思ってしまう程にはそれほどきつくないといえばきつくないし(いや、現実にこういうことが起きたらめちゃくちゃ辛いんだけど)、久賀さんのお話はそこまで辛くなることはないはずなので大丈夫、とも思うんですけどね~。心理的な余裕かなぁ。

なんとこのシリーズ、すでに4冊目までの表紙も公開されてて、4冊目の表紙見る限りダブルヒロインのふたりとも幸せになれそうな様子なので(さっき公開されてることに初めて気付いた)、次からはもうちょっと安心して読んでいきたいと思います。

王女の遺言1 ガーランド王国秘話
久賀理世/ねぎしきょうこ
集英社オレンジ文庫(2021.01)
amazon/honto/BOOKWALKER

References

1 現実問題、アレクシアが国に留まるという展開でアレクシアサイドとディアナサイド(今の所ディアナの仲間関係ほぼ不明ですが)が大団円とは思いますが、そうなるとアレクシアが女王になるという展開しか思いつかないので着地点はそこかな、という気もしてます。