本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身1~6」/香月美夜

本の感想, お気に入り, 作者名 か行香月美夜

フェルディナンドが去ったエーレンフェストでは予定より早まった粛清により混乱し、新体制下での様々な問題も噴出していた。粛清によって一番の力を持つことになった派閥からローゼマインを次の領主とする圧力も強まる中、ローゼマインと婚約することで次の領主の座を確保していたヴィルフリートとローゼマインとの仲が悪化していく。そんな中、王族の要請で貴族院の図書館で王族と領主候補生しか入れないという書庫に入ることになったローゼマインは、現在の王と王族が入手できていない王の証に近づいていた。

不穏!不穏!とにかく不穏!でした。

本好きの最終章5部(全12巻)の前半6巻まで。他領のお節介とそれに乗じた思惑が重なりエーレンフェストから出ざるを得なくなったフェルディナンドが置かれる苦境、フェルディナンドがいなくなったことにより人手不足に拍車がかかったエーレンフェストのごたごたと、王位をめぐる動きなどが絡み読みごたえがありました。
何人かに対して「成敗されてしまえ!」と思ったり、ヴィルフリートは本当はいい子なのに、いい子なのに……というような若干のストレスを感じる展開ではあったのですが、前半の段階では成敗されてないけどたぶん終わりまでに成敗されそうというのと、ヴィルフリート問題は前半で一応決着ついてすっきりしたのは良かったですね。ヴィルフリートは、本当にいい子なんですけど素直すぎるところと育ちの良さゆえの無神経さというか考えなしのところが問題をややこしくし……平時ならいいんですけどこんだけごちゃごちゃしてたら足すくわれるよなぁ……とぼんやり考えていました。

兵士の娘から始まって、順調に下克上してたローゼマインが何やら上り詰めるところまで上り詰めてしまいそうな展開まで見せ始めて、後半戦も楽しみです。いろんな意味で板挟みかつ苦しい立場に置かれているランプレヒト周りでめちゃくちゃ不穏な一文があって、いやちょっとそれは待ってというところもあったので、このあたりもちょっと、いやかなり気になります。側近三兄弟にもみんな幸せになってほしいなぁ。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身1~6」
香月美夜/椎名優
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