ドラゴンキラーあります / 海原育人

本の感想, 作者名 あ行海原育人

戦場で体験した竜を素手で殺すというドラゴンキラーの恐怖の記憶を引きずり、無法地帯の街でしがない何でも屋を生業とする元軍人のココ。ある日、行きつけのカフェで冴えない青年を助けたことから、ココの日常は急変する。争い事が苦手なドラゴンキラー・リリィを相棒に、亡命中の皇女様を救うことになってしまったココだが……


C-Novels大賞・特別賞受賞の新人さん。
科学(?)はそれなりに発展しているものの、竜が存在し、竜におびえつつも利用している世界。紛争に次ぐ紛争で無法地帯と化した辺境バランストを舞台に、元軍人さんココ(ドラゴンキラーが気絶するほど苦手)と争い事が苦手なドラゴンキラー・リリィのでこぼこコンビが派手に暴れ回るお話。

すごく勢いがあって、一気に読ましてしまうお話でした。さすが特別賞、という所なのかなぁ?新人さんらしさといいますか、ノリと勢いは大切です。
ココもリリィもヘタレなのかかっこいいのかよくわかりませんがな……、二人とも、決めるところは決めてるんだけど。しかし、さすがに終盤クライマックスはお見事でした。お互いにあーだこーだといいながらも、妙に息のあった掛け合いはすばらしい。本人達は認めたくないようですが、あれはもうベストコンビとしか言いようがないでしょうね。
メインの二人以外にも、周囲の人物も一癖も二癖もある面々が揃っていました。みんな濃いなぁ、そして面白くかっこいい。

そしてラストのオチというか、タイトルにそうつなげるか~というのはちょっとツボに来てしまいました。来月いきなり続刊(タイトルは「ドラゴンキラーいっぱいあります」らしいです)がでるようなのですが、気になるなぁ。物語唯一の癒し系の皇女様のかわいさに磨きがかかっていそうで気になります。

ただ、極々個人的な好みでちょいワルアウトロー系はちょっと苦手というのがありまして、個人的好みからは若干外れておりました。面白いんですがこればかりはどうにもなりませんね。

imgドラゴンキラーあります
海原育人/カズアキ(イラスト)
ISBN : 9784125009926
中央公論新社C-Novels Fantasia(2007.07)
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