響け、世界を統べる唄 幻獣降臨譚 / 本宮ことは

本の感想, 作者名 ま行本宮ことは

なんとか王都にたどり着いたアリア達はランドールの知り合いの娼館に身を隠すことにする。そこの女主人はアリアの母の友人であり、アリアは母の過去の一端をかいま見る。
捜査の手が緩んだ時を見計らい、シエネスティータ姫の居所を探る一行だが、どうしても王宮へ入り込む隙を見つけられずにいた。幼なじみであるライルを頼ることにしたアリアは……。


幻獣降臨譚第6巻は、前巻の「ほぼ全員総ダーク化に戦々恐々」とはうってかわって「なんですかこの嬉し恥ずかしらぶっぷりは」というお話でした。やはり都にきたららぶですな。らぶはええですな。

物語にあっと驚く新展開はなかったものの、アリアの父母の過去や出自が少し明かされ、それと同じくらいまた謎も増えたように感じます。母の出自だけでなく父の方も何かありそうですね。

そして今回は何よりシェナン王子がよかったですねぇ。アリアと接することで少しずつ丸くなり、人の心を理解するということを学んでいく王子様と一方的に誤解してむくれているアリアのふれあいがたまりません。そして、そんな微笑ましい二人を尻目にプチダークなお目付ユリストルが不気味です。
もう一方のアリア親衛隊ライルも、久しぶりにあったアリアにドキドキというこの描写がらぶっぽくて素晴らしい。姫様との小さな恋のメロディ(ただし、一方的)もいいんだけど、やっぱりアリアに心乱される様子を読んでいる方が楽しかったです。

アリア争奪戦に関しては、しばらくはライルとシェナンで一騎打ちの様相を見せそうです。騎士団に残ったディクスが復活したときに何が起こるかがわかりません。そして、らぶの背後では前回のダーク化を引きずり、いろいろと暗躍されている方もちらほらと。次回、アリアが気付いた「世界を統べる歌」がどう彼女の道に関わっていくのか、そして腹黒sが今後どう動いていくかが楽しみです。

img響け、世界を統べる唄 幻獣降臨譚
本宮ことは/池上紗京(イラスト)
ISBN:978-4-06-255981-2
講談社X文庫WH(2007.08)
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