流血女神伝 喪の女王7 / 須賀しのぶ
ユリ・スカナのザカール人社会に入り込むことで密かに脱出の機会を狙うカリエはそこで大巫女の血筋の少女と懇意になる。一方、ルトヴィアに戻ったグラーシカは離婚を主張するドーンの意に反し、皇后としてルトヴィアを守る事を頑なに主張する。
グラーシカ、素敵すぎ!かっこいい~。ドーンに対してのあの宣言は素晴らしいですね。女神伝でも一・二を争う名シーンではないでしょうか……。そして大切だからこそグラーシカを遠ざけようとするドーンのその決意が涙を誘います。やっぱり、彼の選んだ道からするとアレは避けられないのだな……と非常に、非常に最終巻の展開が気になる内容でした。
一方、ユリ・スカナではネフィシカの印象ががらりと変わりました。これは、彼女の持つ本質にカリエが触れたということなのかな?ここまで激動の時代の女王でなければ名君と呼ばれる女王になっていたのではないかなぁと思ってしまいました。しかし、その弟君の闇はどこまでも深いのですね。風呂に情熱を燃やす姿は愉快な王子様なのに、一瞬であれですから読んでいる方も愕然です。
そして、今まで何事もなかったガゼッタでも不穏な空気有り。というか、ラスト一冊を残した状況でこれって本当に終わるんですかと思わず突っ込みたくなりました、が、ちゃんと終わっているんですよね。この巻を読み終わった時点ではあと5冊くらい続きそうな気がしてしまったんですが(笑)。ついにあと1冊、願わくば、できるだけ多くの人が幸せなエンディングでありますように。
流血女神伝 喪の女王7
須賀しのぶ/船戸明里
集英社コバルト文庫(2007.08)
ISBN:978-4-08-601053-5
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