輪環の魔術師 闇語りのアルカイン / 渡瀬草一郎

本の感想, 作者名 や~わ行・他渡瀬草一郎

辺境の地ミストハウンドで見習い薬師として暮らすセロは幼なじみのご令嬢フィノに振り回されつつも、穏やかな日々を送っていた。しかし、お屋敷に王立魔導騎士団の一行がやってきたことによりセロの生活は一変する。ハルムバックと名乗る騎士はセロの祖父が残した魔導具に大きな興味を示すのだが……


空鐘の渡瀬さんの新作は、なにやらその出生に大きな秘密有りのやさしげな薬師の少年と、彼に並々ならぬ執着を見せるご令嬢、そして謎の超猫(武器はケーキナイフ)が繰り広げる魔導具をめぐる冒険モノ、です。

着実に、堅実に、安定して面白いのだけど、面白いのだけれども……、えー、地味。いや、行間から漂う雰囲気とかちらほら語られるこの世界の仕組みとか、実は妙にかっこいいおじさまとかは非常に好みなんですけどいかんせん、こう、派手にどばーんと惹きつけられるモノがなくて。メインのセロもフィノもまだまだおとなしめの感じがするからかなぁ。二人の謎も結構気になります。フィノのあの並々ならぬ執着心は小さいときのアレが関係してそうですが。

とにもかくにもまだまだ序盤、今巻は旅立ちの物語です。これから二人と一匹の行く手に待ちかまえるのはどんなの物語なのか、特に猫様のご活躍を期待しつつ、続きを待ちたいと思います。たぶんそのうちあるであろう王宮編とかは楽しみかもしれない……。あるのか、本当にというツッコミはなしの方向で。

img輪環の魔導師 闇語りのアルカイン
渡瀬草一郎/碧風羽
電撃文庫(2007.11)
ISBN:978-4-8402-4066-6
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