阪急電車 / 有川浩

本の感想, 作者名 あ行有川浩

片道わずか15分の阪急今津線。一つの路線を舞台に様々な人物が織りなす時に甘く、時に苦い物語は……


阪急の今津線を舞台に繰り広げられる短編集。電車の中とそして駅で繰り広げられるちょっとした物語の積み重ねでした。

電車の中から始まる運命の恋や壮絶な決意をして敵地に乗り込むかっこいい女性の話など、同じ一冊の本の中でいろんな物語が楽しめますね。すさんだ気分になった後にいきなりほんわか気分になる物語などこの緩急がなんかすごいです。とくに討ち入りの翔子さんはひたすらすごいな、と。たくさんいる主人公の中では翔子さん(かっこいい大人の女性)と時江さん(ずばずばものを言うかっこいいおばあちゃん)が好きだなぁ。

一応、短編集という形を取っているので各駅ごとに主人公は違うのだけれど、大きく重なったりすれ違ったりして一つの物語を織りなしていくところはさすがだなぁと思ってしまいました。最後はどう物語をしめるのだろうとわくわくしながら読み進めていました。

今津線はしょっちゅう見るけど乗ったことはないので(まあ、ほら、終着駅が宝塚駅……。宝塚線なら語れるよ!)どんな路線かは想像でしかないんだけど、この物語を読んだ限りまったりできそうな路線だな、と感じました。

最後に一つ。最後のあのオレンジの屋根でベージュの壁の建物はたぶんきっと大劇場だーと(→コレ)主張させていただきたく。音楽学校は見たことないんだけどあそこまで目立つ建物は夢の国宝塚大劇場じゃないかなぁ……、と。宝塚線乗ってると、あのカーブから大劇場に近づく風景を見るだけで興奮する(←アホの子)

img阪急電車
有川浩/徒花スクモ(イラスト)
幻冬舎(2008.01)
ISBN:978-4-344-01450-3
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