『トワイライト・トパァズ』シリーズ / 佐々原史緒

本の感想, 作者名 さ行佐々原史緒

魔宝石に込められた魔力を呼び出すという魔宝士見習いのトパァズは、一流しかし性格激悪師匠ルキウスの放蕩ぶりに頭を悩ます日々を送っていた。ある日、街で橋を焼き落とすというテロリストと対峙してしまったトパァズだが、師匠に助けられなんとか九死に一生を得る。しかしその後、当の師匠が行方不明となったあげく見つかったときには猫の姿に変わってしまっていた。師匠を元の姿に戻すためにトパァズは猫の師匠と共に旅立つが……。


サウザント・メイジシリーズの500年後の世界を舞台に繰り広げられる師弟愛物語全4巻。師匠を人間に戻すために旅に出たトパァズ(途中から指名手配犯)といろんな動物に変身するししょー、長き眠りから目覚め奪われたお宝奪還作戦を決行中のはた迷惑ハイ・エルフのアダマス、そして伝説の魔導士オニキス・ドーナの使い魔・琥珀となかなか賑やかな面々が繰り広げる笑い愛の珍道中物語でした。

1冊目:かくて災厄の旅ははじまる→ふむふむ、まあまあの出だしかも。
2冊目:かくて流転の定めはつづく→アダマスちゃん、ナイスつっこみ!
3冊目:かくて宿命の扉はひらく→師匠にそんな過去が!ちょっとちょっと4巻どこ早くよまな!
4冊目:かくて背信の旅はおわる→最高でしたっ!師弟愛最高っ!

という各巻感想(上記リンクはamazonさんに)。とにかく話が進むごとに続きが楽しみで仕方がなくて、そして最後はよかった!と思えるとてもすばらしい作品でした。
苦労人トパァズのつっこみ一人称とアダマスのおとぼけぶりがわりと相性よく、そんなに得意じゃない一人称も苦もなく(というかのりにのって)読み進めていくことができました。
コメディとシリアス面の緩急がちょうどいい具合で、しかも絶妙な具合の師弟愛っぷりがすばらしかったです。傍若無人師匠に虐げられまくってる弟子とここからどう噂の胸キュンストーリーに発展するのかと若干不安になりもしましたが、そこらへんは全くの杞憂で。しかし、よくよく考えてみると師匠はほとんど動物でほとんどしゃべってないのにここまで胸キュンストーリーになるとは、さすが師匠です。過去の師匠の行動の一つ一つから……と二人の絆の深さが伺えるというものです。不意にくるアダマスの本気モードがこれまた華をそえるといいますか。

バトル面では過去の偉大な魔導士の力を封じ込めた石の力を呼び出して戦うという方法はすごくおもしろくて、そして最後の戦闘でそうくるか、と思わず胸が熱くなってしまいました。あれは感動のシーンですよね。圧巻です。

他のメインの登場人物も皆さん味があっておもしろかったです。ししょー弟も何かいい感じだしなぁ。しかし、総じて大満足なんですが、オニキスちゃんがどうしてそうなったのかとそこが非常に気になって仕方がありません。有り体に言えば「セレナイトはっ!」という一言に尽きるかと(笑)。

imgかくて災厄の旅ははじまる トワイライト・トパァズ
佐々原史緒/瑚澄遊智(イラスト)
ファミ通文庫(2004.12)
ISBN:4-7577-2057-2
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