封印のエスメラルダ 黒伯爵と野いばらの森 / 山本瑤
アドリアンの力になるため、バルカルセ公爵の招きに応じエストラーダに行くことを決意したクラウディア。滞在中にチェスで公爵に勝ち公爵の助力を得るか、さもなくば死かという条件を提示されたクラウディアは公爵の申し出を受け、毎晩命がけのチェスに臨むことになる。
エスメラルダの第3巻。とりあえず読んだ後真っ先に思いついた感想は次の二点。
その一、エルフリーデ(クラウディア姉)がとても怖い。
その二、表紙は詐欺。
相変わらずほんわか系のイラストにそぐわないエルフリーデの黒さ。冒頭でエルフリーデとレオンハルト(クラウディアの想い人)が結婚したりするんですが、エルフリーデのクラウディアへの屈折しすぎた執念が黒すぎます。恐ろしい。この仮面夫婦はどんな茨の道を歩むことになるのか正直な話とても怖いです。
そして表紙詐欺の件。あらすじにも書きましたが、話のほぼ8割方はクラウディアの公爵家での試練を描いておりますのでアドリアンの出番あんまりなし。サシで勝負しているのはおじいさまな公爵様です。ある意味表紙詐欺です。しかし、このクラウディアの命を懸けた勝負に至るまでの過程が割に楽しく、公爵様のスパルタ教育を乗り越えていくクラウディアすごいなぁと思って読んでました。
一度懐に入れた人に対しては惜しみのない愛情を与えるクラウディア、長所といえば長所ですが読んでいて危なっかしいのでとてもスリルに満ちあふれています。国盗りに向けてまた一歩を踏み出したクラウディアとアドリアンの今後がとても楽しみです。
封印のエスメラルダ 黒伯爵と野いばらの森
山本瑤/香坂ゆう
集英社コバルト文庫(2008.08)
ISBN:98-4-08-601198-3
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