白銀の民 / 琉架

本の感想, 作者名 や~わ行・他琉架

精霊を見るという不思議な力を持つ商船の船乗りイオは乗っていた船を海賊に奪われ、家族のように大切な船長と船員達を失ってしまう。船長達の敵を討つことを決意したイオは、命の恩人でもあるジルクス率いる海兵隊に海賊のアジトを餌に入り込み、復讐を果たそうとするのだが……


WHの新人さんのデビュー作。表紙(すっごいきらんきらんです。コスト余計にかかってそうです)とあらすじからなんかくるモノがあればあたりかと思われます!(あと、いろんな人の感想)
わりとオーソドックスな復讐モノ(?)で途中でお話はなんとなーく分かってしまうというところもありますが、いいですそこが!楽しかったです。そしてシリアス一辺倒なお話かと思えばそんなこともなかったです。いや、私もしばらくはとてもシリアスなお話かと思って読んでたんですが、45ページくらいでちょっとおかしいと思いました。そして、まあそんな感じで要所要所で力抜きつつのお話でした。

あまり書くと確実にネタバレをしてしまうのであんまり書きませんが、イオとジルクスの何ともいえない距離感といいますか、ジルクスのいい人ぶりが好きです。イイデスネ。普段はとてもしっかりしているイオがジルクスにちらりと見せる弱さとかツボですね。大好物です。あと、このお話途中イラストが無いんですがそれもいいですね。イラストあったら絶対あそこ絵になってるよなぁ、魔が差すととりあえずイラスト見ちゃうタイプなんですごいネタバレだろうなぁとかそんなことを思いながら読んでいました。イオの謎その一その二、両方ともとても楽しませていただきました。

ストーリー自体はとても良かったし、読みやすかったのだけど文章はちょっと色気というか余韻というかなにかが足りないような……気がします(文章力皆無の私がえらそうですいません)。色気が必要なお話じゃないんですけど、なんといいますか、文章ぶつ切りっぽいというか、ストレートすぎというか、こなれていないというか……新人さんなのでたぶんもっとこれからうまくなられる方だと思いますのでここら辺は今後かなぁ(重ね重ねえらそうですいません)。

お話はきれいに終わってますが、ジルクスはじめとしておいしい人たちがたくさんなので個人的には「イオと愉快な海兵隊さんたち」的続編も有りだと思います。続きないですかーとそこはかとなく期待しておきます。

img白銀の民
琉架 /田村美咲
講談社ホワイトハートX文庫(2008.12)
ISBN:978-4-06-286575-3
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