囁け、この現世の秘密 幻獣降臨譚 / 本宮ことは

本の感想, 作者名 ま行本宮ことは

ミルヒランド公国で公女ヒルディアと対面したアリアは、ヒルディアの心の内を知り、敵対する人物ではないことを知る。しかし、アリアを狙う一派に父を拐かされたことを知ったアリアは、単身でその本拠地に乗り込むことになる。一方、開戦間際のアランダム騎士団ではシェナンが出陣の準備を行い、そしてライルもアランディの街に向かっていた。


幻獣降臨譚11冊目、クライマックス突入!ということらしく一気に伏線回収です。おおおおと思うような謎がいろいろ明かされいろいろ大変です。

最初の頃に比べてアリアがずいぶん賢くなったなぁとまじまじと思ってしまう展開でした。様々な経験を経て今の彼女がいることは間違いないんですが、しかし賢すぎます(と思わず突っ込みたくなった)。でもこれが全部(一応)ずばっと決まってくれるから、読んでる方も爽快でいいんですよねぇ。やっぱり細かいことは抜きにして読んでて気持ちのいいものがいいです。

一方のオトコドモ。シェナンは誰より先に秘密に一歩近づきましたが、果たしてどう動くのか。お付きの人が不穏な動きをしているだけに気になります。ライルはシェナンと合流、できるのかな?騎士団のお仕事もあると思いますが、是非とも協力してもらいたいなぁ、と。そして黒化一直線のティクスはもう回復不能な様相まで呈しているような……。さらりと容赦ない展開に持って行かれる作者さんなので彼の身の安全が気にかかります。

アリアが近づいた真実、そしてシェナンが知った真実、そしてアリアが出会った「あの人」の言葉。どういう着地点に落ち着くのか続きが楽しみです。

img囁け、この現世の秘密 幻獣降臨譚
本宮ことは/池上紗京
講談社X文庫WH(2009.04)
ISBN:978-4-06-286585-2
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