風の王国 うつつの夢 / 毛利志生子
シャンシュン編最終巻。相変わらずとても大河でした。
風の王国シャンシュン遠征編完結編……?なのかな。あの終わり方だとまだ吐蕃にはしばらく帰られそうにない気がするんですが……とにかく、シャンシュンでの争乱に決着がつきました。
最近のコバルトではあり得ないくらい甘さがなくて容赦なくて、色恋からとても遠離りすぎているここ最近の風の王国。登場人物も順調に増えてきて正直途中で誰が誰やら、となったんですがそれはそれでなぜか普通に楽しめているという、作者さんが筆力のある方だから読ませる物語なんだなぁと感心しながら読んでいました。面白かったです。いろいろ容赦なくて切なかったけど。いわゆる「悪役」が毎度のことながらその思想が小物すぎましたが……ここら辺は些細な問題なので置いておくとします。
相変わらず翠蘭はいろんなトラブルに巻き込まれていて、何で生きているのかが本気で不思議に思えます。そして、なんて運のいい人なんだ、と毎回思います。運も実力のうち、ということです。
そして、物語の展開にとても燃えましたが、ガルにも萌えてしまいました。ガルの翠蘭に対するツンデレぶりがすばらしいですね。ガルの翠蘭への態度は正しくは「ツンデレ」ではないんですが(なぜなら、そこに色恋は挟まってない(はず))、にがにがしく思っていたりするのに結局は笑顔になってたりするガルがとても面白い。
しかし、このシリーズの着地点がよく分からない……どこまで続くんだろうか?
あと、なんでこのシリーズだけカラーピンナップが毎回……、ととても思います(たぶん、リジムのかわりなのかと……)
風の王国 うつつの夢
毛利志生子/増田メグミ
集英社コバルト文庫(2009.06)
ISBN:978-4-08-601294-2
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