黒椿姫 雷鳥の暗殺者と公爵令息 / 魚住ユキコ

本の感想, 作者名 あ行魚住ユキコ

恒常的に命を狙われるという生活からすっかり人間不信となった王女エルダは、暗殺に失敗した暗殺者レイフェンを側仕えの者として唯一身近に置くという変わった生活を送っていた。そんなある日、エルダの前に公爵令息ヒースコートが現れる。エルダの婿第一候補のヒースコートはことあるごとにエルダに求婚してくるのだが……

良い主従ラブでした。ライバルの腹黒さも素敵(ただしまごうことなき当て馬)。

ティアラ文庫創刊第二弾。
悲観主義な王女様が腹黒公爵令息(以下、腹黒)につつかれながら、従者への想いに気付いて立ち向かうお話。三者三様のひん曲がり具合が良かったです。従者も男前だったんですが、クライマックスで一番男前だったのは間違いなく王女様ですね。

若干軽めな王宮ロマンスかなぁと思ってたんですが、要所要所でシリアスで。腹黒の腹心の謎の侍女が場を和ましつつ、おっと思う展開でした。それは私も気付かなかったというか盲点だった。腹黒の腹黒具合は、さわやかな腹黒さなので後味が悪いと言うこともなく、こういう腹黒さは大好きです。そしてメインの主従モノはとても好物でした良かったです。件のシーンも不自然に入っているわけでなく、無理ない展開もポイント高いなぁ。

プロローグのあの言葉がいいところで効果的に使われていて、よい物語だと思いました。

img黒椿姫 雷鳥の暗殺者と公爵令息
魚住ユキコ/カワハラ恋
ティアラ文庫(2009.06)
ISBN:978-4-8296-6509-1
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