扇舞う / 駒崎優

本の感想, お気に入り, 作者名 か行駒崎優

隣国今居家の奇襲に遭い、父と二人の兄を亡くし、たった十二歳でただ一人応義家の血を引く身となった祥三郎。わずかな臣下と共に今は隠居した応義家の軍師長坂藤兵衛に助力を求め、国を奪還するために海賊の村に身を隠すことになるが……

健気な若様と渋いおっさんたちとかわいい女の子(ただし出番はちょっと)!面白かった!

駒崎さんのエセ戦国時代絵巻物一冊目は、隣国に攻め込まれ落ち延びた若様の成長と奪還の物語。ひとまずどんなのもか簡単に想像しようと思うのであれば、アル戦的な流れと思っていただければ。

王道ながら飽きさせない展開で読む手が止まりませんでした。落ち延びて、かつての軍師や祥三郎に忠義を尽くす家臣、そして荒くれ者たちの助力を得て足場を整え、今居の軍勢に一矢報いつつも最後に落とすという緩急のついた話運びにさすがだなぁと思う一方で、敵味方それぞれに魅力のあるおっさんたちがいてとても読み応えがありました。おっさんだけじゃなくて今回は女の子からきりりとした女性まで活躍されているから余計にうれしい。とくにちやちゃんかわいいなぁ、十年後ぐらいのちやちゃんはきっととても期待が持てると思います。

最後の最後にそうくるか、という絶体絶命のピンチで幕が引いてしまったので続きがとても気になります。祥三郎もとても好感の持てる素直でよい若様なので、彼の成長した姿を是非読んでみたいです。続編、とても期待しています。

扇舞う
駒崎優/高山しのぶ
幻狼ファンタジアノベル
ISBN:978-4-344-81689-3
bk1/amazon