プリンセスハーツ~初恋よ、君に永遠のさよならをの巻~ / 高殿円

本の感想, 作者名 た行高殿円

ナンセの新領主に誰を据えるかを巡って攻防を繰り広げるルシード・ジル組に対するオズマニアのオース。賭博祭で開催されるトーナメントにそれぞれの推す新領主候補が出場することを利用し、トーナメントでの勝者を新領主とするというルシードの案が採用されるが、それを黙ってみているオース王子ではなく……

賭博祭完結編。ナンセ問題の決着の付き方にほほぅとなりました。

賭博祭とナンセ関係決着編は、ルシードのかっこよさが光ったお話でした。ルシードなのに……。普段ジルにけちょんけちょんに言われているのですっかり忘れていましたが、彼は本来格好良い大公なのです。今思い出した。
最高に盛り上がったトーナメントでのルシードの啖呵とか、ジルの起死回生の秘策とか、さすがと唸ってしまうような展開の連続でした。そしてその盛り上がりのあとのルシードとジルのあれやこれやは……。おお、これはもしかしてちょっと期待できるんじゃ?と思ったところでジルの爆弾発言が炸裂してとても笑ってしまいました。「管理」もいいけど、今回のもいい。甘い言葉もジル語に翻訳されるととたんに無機質になる、この落差がたまりません。
柔らかいところに欠けるジルが、そこら辺意識して何か進展があって仮面夫婦じゃなくなるといいなぁなどと思いつつ、暗雲立ちこめるいろんなことが示唆されてどうなるのか予想がつきません(といいつつ、何が起きるかは知ってるんですが:前シリーズなどで)。続きも楽しみです。

プリンセスハーツ~初恋よ、君に永遠のさよならをの巻~
高殿円/明咲トウル
小学館ルルル文庫(2009.08)
ISBN:945-4-09-452122-1
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