横柄巫女と宰相陛下 届かぬ君へ / 鮎川はぎの

本の感想, 作者名 あ行鮎川はぎの

新年を迎えるための大祭祀がはじまり、カノンと会えないことによりさらに「カノン中毒」を悪化させるノト。対するカノンは鉄壁の理性を動員してノトへの気持ちを抑えようとする。一方、六卿達はそれぞれが主催する年末の夜会の開催順を巡り、密かな攻防を繰り広げていた。

キルテの想いと決意が切なすぎた。

横柄巫女第5弾。男装の麗人キルテがメインのお話。これが男装の麗人の醍醐味っ!というようなあれやこれやがいろいろあって個人的にむふむふしながら読んでましたが、途中からかなりビターになってきてむふむふ所ではなかったです。キルテが男装した理由とある人に対する想いがとても切ない。「正しいこと」と「いいこと」、どっちも大事なことなのに両立させることは本当に難しいです。

一方、キルテに襲いかかる事件に絡んで、カノン中毒に悩むノトと、ノトへの想いを封じようとするカノンのキュンキュンするようなやりとりにぐっと来ました。ノトちゃんがかわいくてかわいくて、もうどうしようかと思いました。不器用さがかわいさに輪をかけていてとても困ります。

今回の彼のキルテに対する嫌がらせ、そしてノトに対する嫌がらせとシリーズでも一番「むかつく」彼が今後も何かちょっかいをかけて来そうで嫌だなぁ、と、あんなやつリリィ様に成敗されてしまえばいいととても思いました。そんな我らがリリィ様は、予想外のデレといつも通りの浅はかさを見せられて絶好調。沈みがちな物語に華を添える貴重な存在です。

img横柄巫女と宰相陛下 届かぬ君へ
鮎川はぎの/彩織路世
小学館ルルル文庫(2010.02)
ISBN:978-4-09-452145-0
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