レプリカ・ガーデン 時無しの人形師と人形の女王 / 栗原ちひろ

本の感想, 作者名 か行栗原ちひろ

長い間所在が明らかにされていなかったセレナは、最高の人形師である「時無しの人形師」に「動けなく、しゃべれない人形」として作られた最高傑作。霊廟に安置されており、墓荒らしに連れて行かれるところを、彼女を探しに来た人形師アーセルに助けられたセレナは、アーセルの手により、動きしゃべられるようになる。しかし、彼女が動き出すことに強い不快感を表した「時無しの人形師」の記憶を持つアーセルの師匠バラッドは、アーセルからセレナを奪ってしまう。

見事なアーセル救済編でした。

レプリカ・ガーデンシリーズ三冊目にして最終刊。1・2作目でといういい人すぎて報われないを地でいく人形師のアーセルと、彼によって「世界」に再びまみえた「人形の女王」セレナの物語。
主人公になってもやっぱりアーセルはいい人すぎて貧乏クジをひきまくっているので、本当に幸せになってほしかったです。いやー良かった良かった。「人形の女王」たらんとするセレナの背筋のぴんと張った態度や思いやりは素敵で、そして人形のことが大好きなアーセルも格好良く、謎に包まれたバラッドにまさかっと思ってひやりとしたり(そしてそのあとの楽しく発言に脱力)、胸キュンから冷や汗まで各種取りそろえており楽しめました。

単体でも読めないこともないのですが、前シリーズのあの人達のその後や(「日常会話」にはへらへら笑いすぎました)、「人形」が生まれた理由など三巻通して読んだ方が楽しいかな、と思わせる箇所がちらほらと。よいシリーズでした。

imgレプリカ・ガーデン 時無しの人形師と人形の女王
栗原ちひろ/明咲トウル
B’s-LOG文庫(2010.04)
ISBN:978-4-04-726193-8
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