金星特急2 / 嬉野君

本の感想, お気に入り, 作者名 あ行嬉野君

花婿候補者がどんどん脱落していく「金星特急」、次の停車地は密林のど真ん中。「王の火」を見つけ出せという金星からの指令らしきものが与えられた錆丸達は、「王の火」目指して密林の中に分け入るが……(祇園精舎に孔雀鳴く)

砂鉄が保父さん状態。

ますます金星の謎が深まるシリーズ第2巻。今回は金星の指令で宝物を探しに行く「祇園精舎に孔雀鳴く」、金星特急に乗り遅れてしまった一行が気合いで金星特急に追いつこうとする「月影よ射抜けシャングリラ」、そして本巻で描写されていない部分についてユースタス視点で語られた書き下ろし「砂糖椰子・蜜・極楽鳥・氷砂糖」の三話収録。本編ももちろん面白かったんですが、書き下ろしの破壊力がとんでもない……!前回(の感想では書いてませんが)、ユースタスが[自己検閲]だったらちょうもえるとか思ってたらあなた、[自己検閲]かもしれないが前面に出てきてとかもうちょうもえる。

と、ちょうもえる所はもちろんのこと、いろいろ手に汗握りはらはらドキドキでした!餌付けされるユースタスや意外に役に立った錆丸、そして保父さん状態の砂鉄の見事なコンビネーションが素晴らしい。ユースタスのお腹のドラゴンとユースタスの秘密は密接に関係しているのではないだろうかなどと見当違いの予想をしつつ、気になる新キャラ「殿下」もかなり素敵そうだしなので続きが楽しみ!
しかし、次巻から恋愛方面が加速って実はかなり期待しているんだけど、ナニーはそっち方面皆無だったし、ペテン師は「それか!」だったしで未知数すぎてはらはらドキドキだなぁ。

img金星特急2
嬉野君/高山しのぶ
新書館ウィングス文庫(2010.06)
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