横柄巫女と宰相陛下 聖なる檻 / 鮎川はぎの

本の感想, 作者名 あ行鮎川はぎの

国王カノンと隣国の王女ノーラの結婚式が行われている最中にシュトルーフェの宰相が刺されて重傷を負うという事件が勃発、そのままなし崩し的にシリウスとシュトルーフェは交戦状態に陥ってしまう。戦勝を祈願するために神殿にこもることになったノトだが、サリクの罠にはまり……

えらいことになってきた、クライマックス直前巻。

横柄巫女シリーズ第10巻で最終巻の直前巻、1巻以来のファンタジー色が濃いめの展開。結婚式か、結婚式か、ノトちゃんとカノンが好きなのでなんか切ない気分だけど結婚式か……と思ってたら、結婚式どころではなくなってしまったお話でした。どえらいことになってきたなぁ。

結婚式で起きる事件、そしてそれを裏で操るシリウスの過去にかかわる神ターラと様々な事柄がひとつに繋がり、犬、ノト、そしてカノンが大ピンチです。ここであかされるシリウスの過去と「聖剣」の秘密は思った以上に重たく、そして切ない想いが込められていました。そしてターラの力でノトに突きつけられた、ノトの思い描く「幸せな未来」がほんとうにもう切なすぎて、切なすぎて。ノトの巫女としての想いと決意がやるせないです。シリウスの国王として、そしてノトのために「聖剣」をふるうことを決意したカノンが聖剣をふるうことによりどうなるのかと心配でなりません。

神様方面はカノンやノトがピンチに立たされている一方で、人間世界の戦況は前巻思わぬ復帰を遂げたかの方が大活躍でとても笑ってしまいました。本当に、成長しましたよね。はらはらしつつも妙な安心感があるとかさすがの王族だ……。

ハッピーエンドを期待しているけど、たぶんそうなると信じているけど、不穏な要素が多すぎて心配です。月末の最終刊が待ち遠しいです。

img横柄巫女と宰相陛下 聖なる檻
鮎川はぎの/彩織路世
小学館ルルル文庫(2010.07)
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