藍玉の花嫁 紅涙流落 / 森崎朝香
閃に攻め込まれた済の公主・紅鈴は、閃の国王の寵姫となり自分の国を「売り渡した」済の重鎮と閃への復讐を決意する。しかし、閃の国王は紅鈴の決意を一蹴し、紅鈴の目をそらすために自分の公子から乗馬を教わることを提案する。
花嫁……ちがうやん!
今巻をもってしばらくお休みされるという「花嫁」シリーズ最新刊は、「目指せ!寵姫の星」と復讐に燃える公主様と、公主様の教育係となってしまった公子様の護衛係のお話……ですよね、うん、一応ラストはそんな感じ。今までにも「花嫁違う」と思った話はあったんですが、今回は一番花嫁から遠かったように思います。いやまあ面白かったから別に気にならないんですが。
今回はシリーズを最初から追いかけている人へのご褒美か、と思うくらい閃の初代国王様とそのお妃さまの出番が多くて、にやにやしながら読んでしまいました。年を経てもこのふたりはやっぱり好きだなぁ。子どもたちにデレデレする王様おもしろい……。紅鈴から全力で逃げる王様もちょっと面白かったです。
世間知らずのヒロインが、荒波にもまれて、外から見た自分や父の姿を認識し、成長していく姿はいいなぁと思うのですが、もうちょっとパンチというかなんというかがあればもっとよかったかな、と思います。「花嫁」的な部分も小さな恋のメロディくらいで終わってしまっていて、主人公周辺ではなんだかちょっと物足りない。でも、好きなシリーズということもありますが、全体的には楽しめましたので新シリーズも楽しみにしておきたいと思います。