黒の輪舞曲~ヴェールの姫君、虚飾の王子~ / バーバラ片桐

本の感想, 作者名 は行バーバラ片桐

亡き母からの刷り込みにより、自分は醜いと信じ、滅多に人前に現れず、人前に立つときは必ずベールをつけてきたフェデリカの元に隣国の王子との婚姻が持ち上がる。何とかして引き篭もり生活を続けたいフェデリカは、昔懇意にしていた魔法使いが残した魔法の薬の作成に励む。そして、彼女の前に現れた隣国の王座を狙うあやしい魔法使いと利害が一致したフェデリカは……

後ろ向きなのに前向きなお姫様が面白かったです。

キャンペーンで(略)読んでみた、2冊目。いろいろあって引きこもりの姫様が、結婚したくないけど逃げられないから嫁いですぐ相手をカエルに変えちゃえばいいんだ!と魔法の薬の作成に励んでいたところ、王位を狙う怪しすぎる魔法使いが現れて、利害関係の一致から結託するけど、怪しすぎるにもかかわらず今まで周囲にいなかったタイプの魔法使いに否応なく惹かれてしまい……というお話。
『憎い相手をカエルに変えちゃう、超危険な黒魔術』とか、「エキセントリックな姫」と呼ばれるフェデリカとか、読み始めたときはその単語のチョイスに若干むむむとなっていたのですが、慣れてしまえばまあこんなもんかな(半分コメディだし)と結構楽しく読んでおりました。

フェデリカが魔法使いのジュリオに惹かれていくところが面白かったです。怪しすぎる!んですが、要所要所が紳士でかっこいいので(笑)、あー、お姫様つかまっちゃって!とニヤニヤしながら読みました。最後のまとめ方が力業というか、もうちょっとなにかほしいところがあるのは事実なんですが、総じては楽しく読めた上に、後日談の短編もなかなかに面白く得した気分でした。

でも、これも別にちょっと大人な数ページの必要性は……。この文庫のセールスポイント?といえばそうなのかもだけど!

img黒の輪舞曲~ヴェールの姫君、虚飾の王子~
バーバラ片桐/石川紗絵
さらさ文庫(2011.07)
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