ご主人様はご機嫌ななめ / 宇津田晴
三ヶ月以内に借金が返せない場合、ごうつくばりの金貸しの後妻となることになってしまったパミーナは、最後の手段として「高給で待遇もいいけど、人が居着かない」悪魔の屋敷で働くことにする。その屋敷の主人・天才科学者クルトは、なんとしてもパミーナを追い出そうとあの手この手を仕掛けてくるが、パミーナはそれにめげずに完璧な侍女ぶりを発揮して……
パミーナとクルトの攻防がすっっっごく楽しかった!これはお薦めっ!
宇津田さんの読み切り新作は、元気で前向きな女の子と、偏屈科学者のニヤニヤ物語でした。もうこれすっごくたのしくて、一冊で終わるのがもったいないくらいでした。でも、きれいに一冊で終わっていて読了感がすごくいいのもよかったなぁ。
パミーナを追い出そうとするクルトの奮闘ぶりがとても面白かったです。まさしく、ミイラ取りがミイラになる展開で読んでいてニヤニヤ。「いいところを挙げたらいっぱいある!」というあそこらへんとても好きです。科学者らしい分析力が徒になってるなぁ、これは絶対。
対するパミーナもクルトに惹かれていく様子がかわいくて、こちらもニヤニヤ。かわいくて一生懸命なだけじゃなく、「生活の知恵」と「生来の賢さ」があるところもすごく好印象だ。契約書ちゃんと読むヒロイン、それだけで好感度がぐぐぐとアップする……(笑)。
そして、クルトのいいお兄ちゃんの素敵なフォローもとても面白く。花盗人紳士協会ってなんやねん(素敵すぎる)。
とにもかくにも、読み切り少女小説として、個人的歴代お気に入りのかなり上位に入ることは間違いない程楽しめました。これは後でもう一回再読しよう。