夢の宮~諸刃の宝剣~ / 今野緒雪

本の感想, 作者名 か行今野緒雪

鸞に滅ぼされた剋の王女は、復讐のために鸞国王昭寧の後宮に入る。機会をつかんで王を手にかけようとした王女だが、あえなく失敗。しかし、王は王女を許し、願いを叶えてくれるなら命を差し出すとまでいいだして……

つかめない王様に振り回される王女様。王道だ……!

「夢の宮」を舞台に繰り広げられるオムニバスストーリー2冊目。今回は滅ぼされた国の王女様と征服国の王様の息詰まるやりとりのお話でした。息詰まる、といっても舞台は後宮で、王様と王妃さまの気遣いのおかげでそれほど殺伐とはしてませんが、王女様のの悲壮な決意で殺伐としていましたねぇ。

征服国と被征服国という永遠の命題はもちろんロマンティックでしたが、それ以上に異文化交流的な点でもなかなかによかったです。生涯愛し合う人は一人の国からきた王女さまと、愛はみんなに平等に!の精神の王様、そりゃ相容れないわ。祖国の価値観から言ってあり得ない王様に惹かれる自分を認めたくない王女様の心境が痛々しかったです。

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夢の宮~諸刃の宝剣~
今野緒雪/かわみなみ
集英社コバルト文庫(1994.09)
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