押しかけ絵術師と公爵家の秘密 / 斉藤百伽
描いた絵に命を与え具現化できるという「絵術師」のエステルは、とある理由からまったく依頼が来なかった。先輩たちのように文句は言わないからとにかく仕事を!と祈念していたときに舞い込んだのは、まさかの名門公爵家からの仕事。喜び勇んで公爵家に向かったエステルだが、そこで彼女を迎えた公爵家の子息はエステルをすげなく追い返そうとする。仕事に燃えるエステルは実力行使で公爵家に居座り、ようやくこの仕事の「主旨」を聞き出す。
勢いがあって面白かった。ガビちゃんかわいい。
第5回小学館ライトノベル大賞奨励賞受賞作品。美形嫌いな落ちこぼれの絵術師の女の子が、美形な公爵子息アレクに振り回されるお話。
アレクのあれやこれやは、話の根幹にかかわるネタばれなんで書かないでおこうと思いますが(割と序盤でわかるけど)、もうなんというか「アレクにキーッとなるエステル」がかわいく面白くて。依頼を達成するにはアレクを「好き」にならないといけない、しかし美形は嫌いだ!という彼女がハードルを乗り越えていく様子がかわいかった。息抜きで思わぬいいところを見ちゃってからは、というお決まりと言えばお決まりな展開なんですが、それがいいじゃないですか(にやにや)。
美形嫌いのエステルのため、どちらがより美形でないか言い合うガビちゃんとアレクが面白かったり、最後の落とし方が結構好きだったりで(これは主導権はエステルが持ってるかと思うと……だめだ、想像だけでにやにやが止まらない)楽しめました。続きは読みたいような、別にこれで終わっても消化不足はないので満足なような、そんなお話でした。