たとえ許されない恋だとしても / 湊ようこ
アファリーンの副将軍レイアは、「明星」としてその名を周辺国にと軍人であり、セペフェル軍との戦いで「セペフェルの虎」と呼ばれる有名将軍を討ち取り、アファリーンに勝利をもたらした。一方、メフルの軍人リギュロンはその実力をセペフェルの虎にも認められ、「獅子」と呼ばれていた。そんな敵対する国の二人は、それぞれの休日に互いの正体を知らずに中立国で出会ってしい、そして惹かれあうが。
これは直球ドストライクーーーー!
トロイア戦争から着想を得られたという、敵国の軍人同士の「許されない恋」を描いた作品。これは本当にドストライクなお話でした(正座)。話の六割ぐらいが「中立国でのひと時」を描いていておりまして、ここの恋のメロディが少女小説的にとても素敵。歩く失言製造機のリギュロンと、男装ばかりしていて女装できないレイアがリギュロンの「失言」(※レイアはその意を正しく理解できるので失言ではない)から「女性」として一歩踏み出そうとするところとか。ロマンです。
そして、ロマンといえば後半の「敵同士」の物語も前半の丁寧な描写があるからこそ、両者の想いが切なく、悲痛で。最後までどうなるんだろうどうなるんだろうとぎりぎりしながら読んでいました。
歴史(っぽい)モノ少女小説好きならこれは読んで損はないかと。政治方面も物足りなさを感じないくらい盛り込まれていたのもポイント高いです [1]私は基本アホの子なので、あまり細かいところこだわらないため、その道の人からしたら物足りないかもしれませんが……。いいもの読んだ!
たとえ許されない恋だとしても
湊ようこ/池上紗京
集英社コバルト文庫(2011.11)
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References
↑1 | 私は基本アホの子なので、あまり細かいところこだわらないため、その道の人からしたら物足りないかもしれませんが…… |