夢の上3 光輝晶・闇輝晶 / 多崎礼
夢の上、最後の二編。すべてがつながる物語でした。
恐怖で世を支配する「光神王」の次代の王候補の二人が、それぞれの立場から王をめざし、そして立ち向かっていく二編収録。今までのお話の総まとめ的なところと、幕間に語られる「夢売り」と「夜の王」についても決着がついて、なんといいますか、すべてがきれいにびしっとつながって感無量の幕締めでした。
アライスとツェドカという対照的な二人が出会い、学び、別れ、そして中と外から王を目指すところが対照的に描かれていて、お互いに大事に思う一方で微妙な感情をもてあまし……と同じ場面を二度読んでもいろいろな発見があっておもしろかったです。全編通すと、二度どころか三度四度というところもあるはずなのに、次どうなるんだろうというドキドキが続くのもすごいなぁ。そして、最後に明かされる「夢の上」というタイトルの意味。物理的にもなんだけど、アライスが王としてあの場所にいるのも、色んな人の夢をかなえるためにいるのだと思うとさらにグッとくるものがありました。
全体的に重くて辛いお話で、主要人物がえらくかっこいい最期を迎えられる場面が多くて、これは全滅エンドか!と思ってしまうような展開だったんですが、よくよく見てみると、わりと皆さん残っておられるなぁと最後まで読んで安心してしまいました。とくにあの人は……個人的に「姫と騎士」というのは非常にツボなので、そして今回の二人は燃えたので、本当によかったよかった。ああ、いいもの読めて大満足!できれば三冊目とめて一気に読むのをお勧めします。
夢の上3 光輝晶・闇輝晶
多崎礼/天野英
C-NOVELS Fantasia (2011.05)
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