プリンセスハーツ~大いなる愛をきみに贈ろうの巻~ / 高殿円
豚はすべてを救った。
王宮グランドロマン(笑いも愛も陰謀もあるよ!)の大団円の最終巻。ルシードの、ジルの、そしてメリルローズの秘密が明かされ、それらの秘密に隠されたあの人やこの人の思惑や暗躍にただただえええええええ!っと驚きながら読んでいました。いやいやまさかあの人がここまでがっつりこの物語の根本に絡んでいたなんていたなんて。そして最後までがっつり悪役だと思ってたのにそうじゃなかっただなんて。
サブタイトルにもなっている「大いなる愛」が本当に大きくて、深くて、切なくて、残酷で、でも優しくて。いろんな愛の形があって、そしてルシードは愛されている人なんだなぁ、と。
最終巻については、綺麗に収まりがついているものの、シリーズの大きな魅力の一つ「ジルの計略がきれいに決まって気分爽快!」という点がないのは非常に残念ですが、まあそこら辺は仕方が無いかなぁ。最後までもしかしれこれは切ない話なのかしら、と思っていたらまさかの「豚はすべてを救う」なケリの付け方で、非常にロマンティックではあるもののそこかよ!ジル!と最後のジル語もようやくふさわしい言い回しになってよかったです。
話の本筋自体は終わっているのもの、周囲の人物たちのあれやこれやはどうなった!どうなった!というところが非常に多いので、番外編でないかしら(とりあえずは年明けに通販されるであろう作者さんの完結記念自費出版本に超期待してるんですが…)、「そのときシリーズ」をルルルで再販かつ完結さえてくれないかしら、初代のお話やらないかしら!といろいろ欲求がつもり重なってしまいそうです。
プリンセスハーツ~大いなる愛をきみに贈ろうの巻~
高殿円/明咲トウル
小学館ルルル文庫(2011.12)
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