おこぼれ姫と円卓の騎士 / 石田リンネ
優秀な兄二人の王位継承争いからは一歩引いた場所にいた第一王女レティーツィアは、自分が次代の王になることを「知っていた」。そして、次の王に指名されたレティーツィアは、王の騎士団を作るために人材確保に乗り出すが、めぼしい人材はすでに兄たちの騎士団に所属してしまっていた。
王女様のしたたかながらも一生懸命なところが良かったです。王者の風格。
第13回えんため大賞優秀賞作品。王になるべく人材確保に走る王女様が、ロックオンした騎士候補のデュークをあの手この手で陥落しようとアレコレ画策するお話(中盤まで)。そして、初代の王の時代からの因縁の魔法アイテムを封じるために、あれこれ奔走するお話が後半。
王女様の計算高いところと、次の王としてキリッとしているところがいいなぁ、と。そしてデュークをあの手この手で陥落し、陥落させられたデュークとのやり取りもいいなぁ、と。つまりは、王女様と第一の騎士の(今のところ)甘くもなく辛くもない関係が好きなのです。これはツボ……。あと、お兄ちゃんたちもいいですね、お兄ちゃん。少女小説におけるよいお兄ちゃんは重要なポイントです。
王女様が自分が王になるということを知っていた、というところと、王女様が最強な秘密については、チートというか最強すぎて反則だ!反則だ!と思うことも事実ですが、そこらへんも含めて面白かったなぁ、と。王女様が後世に送られた諡がどうしてそうなった!というのがありますので続きを所望します。