芙蓉千里III 永遠の曠野 / 須賀しのぶ
圧巻、という一言に尽きるラストでした。
大陸一の女郎になってやる!とのし上がっていくお話かと思えばいつの間にかそのあたり、「そんなこともあったっけ?」というくらい遠い話になり、第一次世界大戦前くらいの中国大陸の動乱の中で激しく生きたある女性の物語、として綺麗に完結しました。
歴史のこのあたり、非常に弱いのでえーそーなのーすごいーややこしいー血なまぐさいーと感心しながら読んでおりました。モンゴル独立のために「今日の友は明日の敵と言わんばかり」の腹の探り合いにめまぐるしく変わる状況に、なんかすごいという感想しかでませんでした。圧巻。
と、あとはアホな感想をつらつらと。ラストに関しては、須賀さんの他の作品のエンディングとの既視感を若干感じましたが、いやこういうの私好きなんで……。途中からなんだかこの人に死兆星でてるよ!とかあの人が急にデれてきた!とか思ってたら、なるほど。うんでもこういうの(略)。個人的に一番嬉しかったのは、終章でちらっとでてきたあの人、がフミのもとにいるってことですかね。具体的に言うと431ページにセリフがある人!
物語本編のその後が語られるのがすごく好きなので、終章は良かったなぁ。本編がかなり悲壮だっただけに、余計に。で、歴史的にこの後のことを考えると、フミたちが戦った時以上に大陸が荒波に揉まれていくわけですが、このあとのフミたちはどうなるんだろう。きっと彼女たちなら力強く生きていって最後は縁側で老衰、かなぁとかそんな想像をしてしまいます。あ、あと黒谷さん。心中して大失恋して強くなった様子に安心しました。私はやっぱり黒谷さん推しです!
と、いつもどおりアホな感想しかかけませんが、非常にボリュームと読み応えのあるフミの一代記、最後まできちんと読めてよかったです。面白かった!