貴公子ラッドの受難~彼が麗しの花嫁を迎えるまで~ / 我鳥彩子
農家の三男坊ラッドは、恋人で領主の娘であるアーシャとの結婚を目指し、「一旗」上げるために都会にやってきた。その巻き込まれ体質を遺憾なく発揮し様々なトラブルに巻き込まれつつも、なぜか貴族の跡取りに収まったラッドは果たしてアーシャと無事結婚できるのか……
巻き込まれすぎ!
「贅沢な身の上」の和鳥さんの読みきり短編連作の一冊。様々なトラブルに巻き込まれつつも、そのトラブルのもととなる恋のアレコレを見事にまとめあげつつわらしべ長者のようにステップアップしていくラッドが面白かったです。身分を手に入れても根本は変わらないラッドがよいものでした。それにしても、みんな良い人すぎるやろう……特にガライン大公さんのところのみなさん。暖かく受け入れられるラッドにありえないと突っ込みたくなる気持をぐっと抑えて、宮廷のみんなでニヤニヤと恋の行く末を見守るとか、面白すぎる(笑)。
後半になって物語に参加したアーシャが、思っていたよりサバサバとしていたアネゴ肌のお嬢さんだったのも好印象。わりにバッサリと切り捨てていく潔さを発揮しながらの活躍と、実はそれも皆様の計算のウチというオチが面白かったです。
ぽんぽんとリズムよく読めて面白い少女小説でしたー!
貴公子ラッドの受難~彼が麗しの花嫁を迎えるまで~
我鳥彩子/犀川夏生
集英社コバルト文庫(2012/06)
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