上海恋茶館 アール・グレイは琥珀のくちづけ / 青木祐子
やっぱりフェイさんが最強すぎる。
リリア父の荷物をめぐる騒動を描いた2冊目。リリアは思っていたよりも腹黒い模様です。いや、腹黒いというのとは少し違うんだけど……黒い商売には直接手を出さないけど、自分のお茶のためなら別に他人が何をしていようとかまわない、というか、商人の娘らしくビジネスライクに捉えているところがあるなぁと感じました。あくまで今回の一件の顛末から感じたことなので、間違っているかもしれないんですがね。上海租界の参事を相手に堂々と渡り合っているところはすごいなぁと思いまいた。
一方の龍之介さんはいつの間に上海にすっかり腰を落ち着け、いいように利用されている感が強いのですが、わりと楽しそうです。彼が日本を出た理由のあたりはぜひとも読んでみたいなぁと思いますが、思ったよりも惚れっぽいやつだった(笑)。そして前シリーズと違ってなんて手の早い(笑)。それに対する鉄拳制裁もちょっと笑いましたすいません。
物語もリリアの両親が行方不明になった真相や、行なっていた商売の謎、さらに黒い商売も絡んできて結構シリアスめに進む模様で今後どう展開するのかな。しかし、気になると同じくらい、リリアや龍之介の行動や考えが腑に落ちない、というかどうにもしっくりこなくてむむむと思ってしまうことが多いのがちょっと残念。個人的に合うか合わないかの問題なんですけど、次巻以降この違和感が薄まればいいんだけどなぁ。
上海恋茶館 アール・グレイは琥珀のくちづけ
青木祐子/サカノ景子
集英社コバルト文庫(2012.09)
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