白桜四神 伏魔殿の紅一点! / 伊藤たつき

本の感想, 作者名 あ行伊藤たつき

貧乏貴族の姫・里桜の元に国を守る四家の一つ白虎家の当主・上総が訪ねてきた。里桜は上総の孫娘であり、跡継ぎのいない白虎家のために上総のもとに来るよう言われた里桜は、体の弱い姉の薬と家族の生活費のため、上総の「孫息子」として白虎家の跡継ぎ「白桜」を演じることになる。「四家の跡継ぎのお披露目」の儀式以外は家に引っ込んでいればいいはずだった里桜だが、儀式の準備のために他の四家の跡継ぎとの「合宿」に参加することになってしまう。

男装モノと聞いて!

なんちゃって平安な世界を舞台に、お家の断絶回避のために男装することになった元気な姫君・里桜がライバル(四家の当主から帝が選ばれるため)である他の跡継ぎ君達と共同生活をすることになってそれだけでも大変なのに、他の跡継ぎは曲が強すぎるし(優秀なツン、色気魔神、無口)、更に国を脅かす謎の組織まで出てきてさあ大変!(温泉でどっきりもあるよ)というお話(大筋は間違ってない)でした。おじいちゃんがいつデレるのか、それが気になってたんですが、わりとあっさりデレちゃって拍子抜けでしたよ。あれでデレるか!とも思いましたが、こういうのに弱いので文句はありません。

里桜の男装が、よくばれないなぁ、と思う程度に「可愛い女の子が頑張って男装してます!」というような男装でしたが、いやでも可愛いし、なんのかんのでカッコ良かったしで楽しかったです。ただ、「ちょっぴりドジふんだけど、頑張れ私!」というようなノリが苦手であれば、おすすめはできません……。
そして、里桜の一生懸命さにほだされていく跡継ぎたちにニヤニヤとしてしまいました。特に、(たぶんメインヒーローの)青丞くんがねぇ……!青春とは良きものでございます。個人的には、青丞くんとは2巻以降で姫君姿の里桜と再会の上心を通わしちゃったりなんかして、そんな状態に悶々とする「白桜」としての里桜というとてもベタな展開にならないかなぁとほのかに期待を寄せています。

白桜四神 伏魔殿の紅一点!
伊藤たつき/硝音あや
角川ビーンズ文庫(2013.04)
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