銀の竜騎士団 ウサギと四人の帝位継承者 / 九月文

本の感想, 作者名 か行九月文

隣国アズィールでついに第一皇子と第二皇子の後継者争いの内乱が始まった。国境を接するエルヴァ砦にスメラギとともに詰めるルーシェは、スメラギの家族が争うことに心を痛めるが……

うーん、うーん。

アズィールの皇位継承争い編の開幕。ローレンシアとしてはアズィールでの争いは「静観」することが正しいのに、スメラギの家族が、そしてスメラギのルーツである国が戦禍を被るとあってなんとかしようとしてしまうルーシェと、あくまでもローレンシアの竜公として動こうとするスメラギの平行線の主張がなかなか読んでてつらいものがありました。何を大事にしようとするかの差だから、歩み寄れないんですよねぇ、こういうのは。

しかし、ルーシェの主張が、どうにも、なんというか、青くて……ムズムズしてしまいました。この物語の主要ターゲット層の年齢からは大きく外れていることは百も承知なんですが、しかしそれを差し置いても、無駄に熱いというか空回りというか。シリスさんのようにいざとなったら全部切り捨てる人がいる一方で、できるだけ多くのものを手にしようとするルーシェのありかたもありとは思うのですが、しかし、全体的にムズムズしてしまいまして。
そんな中、スメラギさんはあっと驚きの引きを演出されて、これは続きも読まねばならないという憎い展開でした。出来れば続きは早めにお願いしたいところ。

銀の竜騎士団 ウサギと四人の定位継承者
九月文/明咲トウル
角川ビーンズ文庫(2013.06)
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